生きるをえがく
長尾です
これまた研修の内容です。
行動障害を「問題」ではなく「メッセージ」として理解する
― 応用行動分析(ABA)と機能的コミュニケーション支援の視点 ―
行動障害(強度行動障害を含む)を「直す対象」ではなく、「社会への問題提起・コミュニケーション」として捉え直すことを軸に、応用行動分析(ABA)に基づく実践的支援の考え方を体系的にまとめたものです。
1.「問題行動」ではなく「問題提起行動」
従来の医学モデルでは、行動は個人の障害として理解されがちでした。
行動は「社会的障壁を取り除いてほしい」というメッセージである。
・行動が繰り返されるのは、何らかの形で強化されているから
・多くの場合、その背景にはコミュニケーションの困難さがある
・「言葉が話せる=コミュニケーションができている」ではない
行動は「困った結果」ではなく、困っている状態の表現なのです。
2.行動には必ず「機能(理由・目的)」がある
1980年代以降、行動分析の分野では、問題行動を
コミュニケーションの一形態として理解する流れが主流になりました。
行動の主な機能は4つに整理されます。
・注目や関わりを得る
・モノ・活動を得る
・嫌なことから逃避・回避する
・感覚刺激を得る(自動強化)
重要なのは、行動を止めることではなく、その機能を満たす「別の手段」を教えることです。
3.機能的行動アセスメント(FBA)の重要性
適切な支援の出発点は、
「その行動は何を伝えようとしているのか?」を理解することです。
そのために行うのが、機能的行動アセスメント(FBA)。
・インタビュー(複数の関係者から)
・チェックリスト(MAS、FASTなど)
・直接観察(ABC記録、散布図)
・必要に応じて機能分析(FA)
行動の「見た目」ではなく、前後関係(ABC)を見ることが支援の質を大きく左右します。
4.支援の三本柱:先行支援・分化強化・消去
問題提起行動への支援は、次の3点を組み合わせて考えます。
a.先行支援(A)
・視覚的構造化(スケジュール・見通し)
・PECSなどによる機能的コミュニケーション支援
b.分化強化(B・C)
・機能的に等価な代替行動(FEAB)を強化
・問題行動が出ていない状態(DRO)を意識的に強化
c.消去(C)
・問題提起行動を強化しない
・消去バースト・間欠強化への注意が必須
5.PECSと機能的コミュニケーション・トレーニング(FCT)
PECS(絵カード交換式コミュニケーション・システム)は、
・自発的な要求を最初から教える
・プロンプト依存を防ぐ
・言語発達を妨げず、むしろ促進する
という点で、問題提起行動の予防・軽減に強いエビデンスがあります。
また本資料では、PECSと併せて教えるべき
9つの重要なコミュニケーション・スキル(待つ・拒否・休憩要求・移行理解など)が強調されています。
6.ダイナミック氷山モデル:医学モデルから社会モデルへ
行動の背景を理解する比喩として提示されるのが、
「ダイナミック氷山モデル」です。
・氷山全体=その人の特性(メリ・ハリ)
・水面上=問題提起行動として表出した部分
・海水の塩分濃度=社会の理解と支援の質
理解と支援が適切であれば、氷山(問題行動)は沈む。
問題は人ではなく、環境と関係性にあるという社会モデルの視点が貫かれています。
7.結論:百の対応より一の予防
多くの問題提起行動は、
「適切に伝える手段がないとき」に起こる。
だからこそ、
・強力なコミュニケーション手段を保障する
・見通しと選択肢を提供する
・本人の特性(ハリ)を活かす
これらが、行動障害支援の核心であるとまとめられています。
”行動は「困った結果」ではなく、困っている状態の表現”
困っている人に注意しても怒っても意味がありません
困っている状態を解消し、適切な表出をお伝えします
”行動の「見た目」ではなく、前後関係(ABC)を見ることが支援の質を大きく左右”
ラボではFASTとABC分析が使われることが多いです
行動分析を視覚化し、客観的に行なうことを助けてくれます
PECSは道半ばですが地道に進めています
支援手法ではなく目的が大切です
”多くの問題提起行動は、
「適切に伝える手段がないとき」に起こる。”
力対力にならないよう支援力を高める
力に技術で対応していく必要があります
マッチョマンにならず華麗に躍動しよう
抑止力ではなく支援力!!
生きるをえがく
ながを