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生きるをえがく
長尾です
受講研修の共有
エビデンスに基づくSST「PEERS®」の実践
PEERS®とは?
PEERS®(Program for Education and Enrichment of Relational Skills)は
米国UCLAのDr. Elizabeth Laugesonによって開発された
思春期のASD(自閉スペクトラム症)や社会性に課題のある子どもを対象とした
ソーシャルスキルトレーニング(SST)プログラムです。
現在では世界80か国以上で実施されており
エビデンスに基づいた支援(EBP)として評価されています。
特徴は以下の3点です。
・認知行動療法(CBT)をベースにしている
・グループ形式で実施する
・保護者を「ソーシャルコーチ」として育てる
単にスキルを教えるのではなく、
家庭と連動させながら実践と振り返りを繰り返す構造が大きな特徴です。
なぜ「友だち関係」に焦点を当てるのか?
思春期は、友だちからの承認が強く意識される発達段階です。
この時期に孤立を経験すると、自尊感情に大きな影響を及ぼすことが研究から示されています。
また、親しい友人が1~2人いることは、
その後の人生におけるストレス緩和にもつながることが分かっています。
PEERSは、
「友だちを作るスキル」と「関係を維持するスキル」
に焦点を当てた実践的プログラムです。
プログラムの内容(全14回)
1回90分、約7か月間にわたって実施されます。
扱うテーマは段階的に構成されています。
前半:基礎スキル
・情報交換の仕方
・双方向の会話
・電話やSNSの使い方
・自分に合った友だちの見つけ方
・ユーモアの適切な使い方
中盤:仲間関係への参加
・会話に入る方法
・会話から抜ける方法
・一緒に遊ぶスキル
・スポーツマンシップ
後半:トラブル対応
・からかいへの対処
・いじめや悪い評判への対応
・思いのすれ違いの解決
・噂やゴシップへの対応
各回で、
1.前回の宿題の振り返り
2.スキルの教示
3.ロールプレイ(行動リハーサル)
4.アクティビティタイム
5.新たな宿題
という流れで進みます。
PEERSの大きな特徴
① グループ形式の意味
グループで行うことで、
・他者のやり方を見る
・自分の成功・失敗を客観視する
・賞賛を受ける経験をする
といった「社会的学習」が可能になります。
② ソクラテス式質問
講義形式ではなく、
「どこが良くなかった?」
「どうすればよかった?」
と問いかけながら考えさせます。
これにより、受け身ではなく主体的な学びが生まれます。
③ 保護者セッションの存在
保護者も毎回別室で学びます。
家庭でのホームワークを通して、保護者がコーチとして機能することを目指します。
支援者だけが頑張るのではなく、
家庭と協働する仕組みになっている点が重要です。
広島市こども療育センターでの実践
2020年より実施され、小学生から中学生を対象に継続されています。
実践を通して見えてきたこと:
子どもについて
・中学生以降の方が取り組みやすい
・ある程度の言語力とモチベーションが必要
・個別セッションが必要なケースもある
SSTは「特効薬」ではない
学んだからすぐにできるわけではありません。
社会場面は文脈が多様であり、繰り返しの実践が必要です。
TEACCHとのブレンド
現場では、PEERSに加えてTEACCHの構造化の考え方を取り入れています。
・視覚的支援(ホワイトボード、手順書)
・子ども用ノートの活用
・バズワード(キーワード)の共有
・曖昧さを明示的にする工夫
ASDの学習スタイルに合わせて柔軟に組み合わせることが、実践のポイントです。
参加児の声
「からかいへの対処が分かった」
「友だちは選べばいいと知った」
「グループ内電話が楽しかった」
一方で、
「うまく使えるか不安」
「いじめがあるかも」
という声もありました。
学びと不安は同時に存在します。
だからこそ継続的な支援が必要です。
まとめ
現在の自閉症支援では、エビデンスが求められています。
PEERSは、科学的根拠に基づいたSSTの一つです。
しかし、マニュアル通りに行うだけではなく、
・子どもの特性に合わせること
・保護者と協働すること
・TEACCHの視点を活用すること
これらを柔軟に組み合わせることで、より実践的な支援になります。
構造化はゴールではなくスタート。
気づきを育てる支援が、思春期の子ども達を支えます。
”構造化はゴールではなくスタート”です
落ち着ける環境を設定してよかったよかった
ではなくやりがいや楽しみ、生きるをえがくことが重要
保護者とのやり取り
希薄になっている…
改めてコミュニケーションを図りたい
生きるをえがく
ながを